病診連携という言葉はご存じでしょうか?
簡単に言うと皆様に身近なかかりつけ医(クリニックや診療所)と高度な設備や技術を持った高次医療機関(大学病院や日赤病院など)の医療者が協力して、病気の早期発見や治療をする連携の事をいいます。この病診連携には2つのタイプがあります。
一つ目はかかりつけ医で見つかった乳がん患者さんは高次医療機関に紹介され、そのままそこで治療を完結していました(院内完結型病診連携といいます)。10年前まではこのような連携の形で特に困りませんでした。
しかしながら、乳がんは9人に1人の女性がなる時代になりました。身近な家族や友人などで乳がんになった人がいるかもしれません。そのような背景の中で、乳腺専門医数は十分とはいえません(乳腺専門医数1,652人 令和3年3月現在)。また、高次医療機関においては多くの患者さんであふれかえり、夜10時や11時迄外来診療をしていたとの話も聞きます。つまり、高次医療機関だけではすべての乳がん診断・治療をまかなえなくなってきたのです。
二つ目は皆様に身近なかかりつけ医と高次医療機関の医療者がお互いの長所を上手く活用し、高次医療機関だけで診断・治療を完結するのではなく、地域全体で診療する体制が始まったのです(院外完結型病診連携といいます)。これを乳がん術後地域連携パスといい、和歌山へ赴任してきた10年前から積極的に取り組んできました。
次回は乳がん術後地域連携パスについてお話します。