みなさまがこの連携パスをおこなう事によるメリット、デメリットはどうでしょうか?
すべての資源には限りがあり、それを有効活用する必要があります。医療においても同じです。この連携パスを導入して地域全体で診療する体制により、高次医療機関の医師は外来診療の負担から軽減されます。その結果、急性期医療に特化でき、患者さんはその恩恵をうけられます。また、クリニックは乳房のかかりつけ医となり、患者さんは乳房に不安な事があれば自分一人で悩まず、いつでも気軽に相談できます。そして、治療が一段落した後はクリニックで診療を受ける事により、患者さんは高次医療機関への長い通院時間や待ち時間の短縮ができ、時間を有効活用できます。
しかしながら、連携パスに関するアンケートによれば、患者さんは「手術後も乳腺専門医の診察」や「手術を担当した先生の診察」を希望される意見が少なからずありました。日赤在籍中にこのシステムを導入した立場として、現状でもこの連携パスを用いた診療体制はよい方向へ進んでいると思います。一方、医療が高度化していく中で、さらに患者さんが安心して連携パスをおこなって頂くには、新たな連携の方法を考える必要も感じました。
次回はこのシリーズ最終回となりますが、当クリニックが目指している次世代の連携についてお話しします。